あの加藤とあの課長
お互いにお風呂を上がった後、私は冷蔵庫に入れておいたそれを源に差し出した。



「はいっ、バレンタインー!」

「え。」

「まだ早いんだけど、ほら、今週末でしょ? 直接渡したかったから、フライング♪」



私の言葉に柔らかく微笑むと、私が差し出したそれを受け取ってくれた。



「サンキュ。」

「手作りだよ、レアだよ。」

「にしても、いつ作ったんだ?」

「金曜日の夜。腐ってはないはず!」



手作りだから少し心配な気もするけど…、冷蔵庫に入れてたから、大丈夫なはず!

ちなみに生チョコにしました。



「食ってもいいか?」

「うん。」



ソファに座って包みを開封する源を、隣に座って眺める。

緊張する…。


1つ口に放り込んで、源は頬を緩めた。

味は甘さ控えめにしてみた。チョコが食べれるとはいえ、源は甘党ではないからね。



「旨い。」

「よかったーあ!」

「不味いわけないだろ、陽萌が作ったものが。」

「不味いときは不味いんだよーだ。」



高1の頃恵也にあげたときは、めちゃくちゃ不味かった。


味見をしないであげちゃったのが悪いんだけど、食べた後の開口第一声が「まず!」だった。

それから私が拗ねちゃって喧嘩したっけ。
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