あの加藤とあの課長

守るよ守らせて

それからの私は目が回るほど頑張って働いていた。



「三富さん、この書類。間違ってます、すぐに直してください。」

「了解。」

「高山課長、こちらに印をお願いします。」

「うん。」



何も見なくて済むよう、早く帰れるよう、必死だった。



「外回り行きましょう。」



ここでは規模が本社ほど大きくないため、課長の下は係長を飛ばして平社員になる。

私は課長周辺だけでなく、他の社員も育てるためにそちらの補佐もするようになった。


逆に、私がこうしている間は課長周辺は２人で回すことになる。

それはそれでいいことだ。

フォローが必要なら、外回りから帰ってから私がする。



「加藤さん、体持ちますか？」



一緒に外回りに来ていた年下の男性社員にそう訊ねられた。



「大丈夫、私もまだ若いしね。」

「無理したら、ダメですよ。」

「ありがとう。」



私、そんなに無理してる風に見えるのかな…。

社用車の助手席で、思わず溜め息を吐いてしまった。


昨日は高山課長にスタミナドリンクを渡されちゃうし。

源との約束を守って、ご飯はちゃんと３食食べてるから、心配いらないのに。
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