あの加藤とあの課長
「最近頑張りすぎやないか?」



社食で恵也とご飯を食べていると、そんなことを言われた。



「皆にすごく言われるんだけど…、そんな風に見えるかなぁ、私。」

「頑張りすぎや。倒れへんか、正直心配になるで。」



確かに頑張ってはいるけど…、そこまででもないんだけどなぁ…。

咀嚼しながら首を傾げた。



「何をそんな焦っとるん? そない焦ってもええことなんて何もあらへんで。」

「うん…。」



分かってる。分かってるんだけど、早く帰りたくて仕方ないんだもん。

寂しいよ…源…。



「まぁ、お前の気持ちもよう分かるさかい、俺らもできる限り頑張るわ。」

「恵也…。」

「生渕さんとムッカつくくらいラブラブやもんなぁ。」

「……ありがとう。」



えへへと笑うと、恵也は苦笑しながらお味噌汁を飲んだ。



「そいえば、アイツらになんかされとらんか?」

「アイツら……、あぁ、うん。大丈夫。」



少しして、私の髪を切ったあの女性社員たちのことだと気が付いた。

ここ最近は、特に何もされていない。



「そうか。たぶん、生渕さんがガツーンと言ったんやろなぁ。」

「え…?」

「俺、あの後言われたんや。『守れないんだったら必要以上に近付くな』って。」

「そう、なんだ…。」

「あの人、慣れとったで。たぶん今までもそうやって、陽萌のこと守ってきたんやろな。」



急になんだか恥ずかしくなって俯いた。


今までも…。

そう言われて思い出してみると、そうだったのかななんて思う節々がいくつかある。
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