あの加藤とあの課長
1フロア下にある総務からの帰り、階段を昇っていた。

基本皆エレベーターを使うので、周りには誰もおらず、ヒールの音がよく響く。



「加藤さん。」



不意に名前を呼ばれて顔を上げると、目の前には私の髪を切った彼女がいた。



「アンタ、やっぱウザいわ。」

「は…? ……他の2人はどうしたの。」



確か彼女は基本3人行動だったはず。

一段上の彼女を下から見上げる。



「あの2人は生渕さんや三富さんに叱られて縮み上がっとるわ。」

「そう。」



源が裏で動いてたのは、本当だったんだ…。



「でもなぁ、あの2人と違て、私はアンタを許されへんのよ。」

「どうしてそこまで拘るの。」

「……。」



私が仕事モードのまま尋ねると、彼女は少しの間沈黙した。



「せやなぁ、アンタ、モテすぎんのや。」

「…え?」



意味が分からない。



「とりあえず、会社、辞めてくれへん?」



そう言って、私の肩をトンッと押した。

階段の中腹、可もなく不可もない高さ。
でも怪我は免れないだろう。


なんか、なんだろう。

私、男関係のトラブル多すぎる。こっちに来てからは源一筋だから何もないのに。

私って、天性のトラブルメーカーなのかな…。
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