あの加藤とあの課長
それから夕飯を食べて、交代でお風呂に入ることにした。

洗い物を終えた後、敏ちゃんを待つ間、ベランダに出て煙草を吸った。



「陽萌ー、お風呂ありがとー。」

「んー。」

「あ! 煙草!」



ツカツカと歩み寄ってくると、私の手からパッと煙草と灰皿を奪い取った。



「ちょっ…。」

「ったく…、あんまり吸ってんじゃないわよ。」

「返してよー。」

「ダーメ。体に悪いんだから。」



と言いながら吸い始めたばかりの煙草を灰皿でもみ消した。

ちぇって言うと、軽く睨まれた。



「反抗期かしら。困ったわねえ。」



なんて言いながら部屋に戻って行った。

そんなところばっかり、救護室の人って感じがする。


そう言えば、源にも本数減らせって言われたんだっけ。守らなきゃなぁ…。



「ってか、陽萌。」

「ん?」

「こっち来なさい。」



ベランダの鍵を締めた私を、ソファに座った敏ちゃんが呼ぶ。

その隣に腰掛けると、敏ちゃんはじっと私の目を見つめてきた。


キョトンとした私に対し、ふと真面目な表情になる。



「アンタ、アイツのことどう思ってんのよ。」



核心をついたその発言に、私は固まってしまった。

笑うことすらできず、ただ目の前の敏ちゃんを見つめる。
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