あの加藤とあの課長
「お疲れ様でしたー。」

「お疲れ様。ゆっくり休むんやでー。」



駅で部長と別れて帰路に着く。

源はまだ仕事があるから、しっかり定時に上がれる私と違ってまだまだ仕事。


家に帰ったらご飯作って…、洗濯物とかあるかな…?


そんなことを思いながら家のドアを開けた。



「ただいまーぁ。」



誰もいないって分かってるんだけど、もはやこれは癖。

リビングに入ったとき、視線を感じて。


振り返えると目が合って、嬉しそうな素振りを見せるから私まで嬉しくなった。



「プリンーっ! ただいまーっ。」



ゲージから出してギュッと抱き締めると、嬉しそうに顔を擦り寄せてくる。

相変わらずの可愛さだ。



「源と2人暮らしはどうですかー。」



しばらくプリンと戯れた後、プリンをゲージに戻して、夕飯作りを始めた。

せっかくだから豪勢にしたいけど…、私も疲れたしなぁ…。


そんなことを考えて、ビーフシチューにしてみた。



「洗濯物…溜まってない…。」



作り終えてから洗濯篭を覗いて、呟いた。


そっか、元々源って家事してた人だから、その辺心配要らないのか…。

なんか、寂しい。


私がいなくても、当たり前にここでの生活は進んでいくんだなぁ…。



「……って、当たり前か、うん。」



むしろ進んでなかったら、困るか。

そのとき、玄関の方から鍵が開く音がした。
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