あの加藤とあの課長
休憩場所に行くと、またしても先客がいた。



「よっ。」



そう片手を上げた人物に、昨日の晋ちゃん同様飛び付く。



「煌ーっ!」

「相変わらずだな…。」



呆れながらも抱き留めてくれる煌も、相変わらずだ。

ニコニコ笑う私に何かを感じたらしい。



「元気そうで安心した、表面上だけでも。」

「……。」



肩が跳ねたのを見逃さなかった煌は、思いっ切り溜め息を吐いた。



「三富先輩と一緒なんだっけ?」

「…うん。」

「とんだ偶然だな。もはや嫌がらせ並み。」



煌から離れながら、その顔をじっと見つめる。



「…残念ながら、お前が期待してるようなアドバイスとか、出てこねぇよ。」

「…ですよね。」

「俺は何があっても陽萌の味方だ、それは間違いない。」

「うん。」

「でもな、周りを巻き込んだ挙句傷付けるのは、あんまり感心しない。」



コクンと頷くと、そんな私の頭を撫でた。



「でも、決めるのは陽萌だ。」

「う、ん。」

「後悔しないよう、頑張れ。」



そう微笑んで、煌はエレベーターに向かって歩き出した。



「あ、そうだ、今晩にでも呑もうぜー。」



そう流れるように約束を取り付けて、煌はエレベーターに乗り込んだ。
< 319 / 474 >

この作品をシェア

pagetop