あの加藤とあの課長
煌と呑んだ後、フラフラと覚束ない足取りで家に帰ると、源に呆れられた。



「お前、明日もあるんだぞ?」

「んん~…。」

「…まぁ、少しでもそうなるからな…。お前はもうしょうがないか。」



そう言う源を、なんだかメチャクチャに殴りたくなった。



「…寝る。」

「化粧は?」

「…落とす。」

「風呂。」

「明日、朝入る。」



そんな簡単な会話を交わして、洗面所のドアを閉めた。


ドアに背を預け、ズルズルとそのまま座り込む。

何をしてるんだろう、私は。



あの後、会議が終わった源の元へすっ飛んで来たのもまた女の子で、今度は私の知ってる子だった。


私が務めていた、課長補佐。

その席が今はもう埋まっていたとしても不思議はない。


むしろ、その席が空席のままだったらきっと源は過労死でもするんじゃないだろうか。


きっと、その空席を何人もの女の子が埋めているんだろう。

何となく…そんな気がした。


だって今日の女の子達の仕事は、どう見てもかつて私がしていたもの。



嫉妬?
違う。

これは…


(失いゆくことへの、恐怖。)
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