あの加藤とあの課長
『うん。で、そこじゃなくてね!』

「うん。」



何をそんなに…。

肩と耳でケータイを挟んで、自由になった両手で封筒の封を切る。


中から顔を出したのは、予想外にも社内報。



「あ、社内報だ。」



あっけらかんとそう言うと、電話越しに晋ちゃんが項垂れたのが分かった。

そんなにマズイものでも…?


うちの会社の社内報はわりと社内では人気が高い。


成績だとか、重役のコメント、クローズアップはもちろんのこと、人事まで載っている。


ただ、その人事が細かい。

結婚関係のおめでたいことなんかも掲載されていたり、時には訃報が掲載されることも。


まぁさすがに、週刊誌並みのスキャンダラスなことは載らないんだけど…。



『…増田ちゃんね、広報の社内報担当になったんだ。』

「へぇ…!」



そう返しながらパラパラと社内報を捲る。


そういえば、関西支社でも、関西支社版の社内報を出すんだとか。

とはいえ本社の社内報も後で届くはずだったけど…。



『それでちょっと…やってくれて…。』

「ん?」



とその時、丁度付箋が貼られているのに気が付いた。
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