あの加藤とあの課長
付箋に指を引っかけ、そのページを捲る。



『人事のページなんだけど…。』



晋ちゃんの言葉が耳に飛び込んできたのと、そのページの文字が目に飛び込んできたのと、どちらが先だったか。



「何、これ…。」



呆然としながら呟いてしまった。

漫画みたいに社内報を持つ手が震えることも、社内報を落とすこともなかったけれど。


驚くくらい一気に顔から血の気が引いていったのが分かった。



『……もう、社内中に出回っちゃってて。』



紙面に躍っていた文字は、私を一気に底に突き落とした。


“あの加藤とあの課長 破局!?”
そう書かれた文字の下には、社員旅行のときの写真。

顔を赤らめた浴衣姿の私の腰に腕を回す、同じく浴衣姿の源。


どうやら宴会会場のようだ。


その他にも仕事中だったり、社食での写真が数枚。



『増田ちゃんはシレッとしてるし、上に掛けあってもそれでいいの一点張りだし…。』

「…そう。」

『陽萌…。』



キュッと、社内報を持つ手に力が入った。


なんだか、気持ち、悪い。
吐きそう。

……なんで…。



『気にしちゃ駄目だよ!? 陽萌!』
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