あの加藤とあの課長
「…本物の女の子やんな?」

「…うん。」



後ろの増田ちゃんは思い切り首を傾げていて。



「…関西支社の、三富 恵也。私と一緒に課長補佐をしてるの。」

「どうも。陽萌の彼氏ですー。」

「恵也…。」



諫めるように視線を向けると、恵也は悪戯っ子のように笑って見せた。

増田ちゃんは少し唖然としている。



「前に会うた…敏さんはまさかの展開やったからな。」

「あぁ…。」



そうだよね…。

とその時、恵也のケータイが着信を知らせた。



「あ、やべ。ガンタがお怒りやから、俺もう行くわ。」

「うん、気を付けてね。」

「おぅ。」



通りすぎ様、私の頭をポンッと撫でていった。



「あれが噂の…。」

「え?」

「本社で超噂ですよ、あの人! 課長から加藤さん奪ったって!」



火が付いたように始まってしまった増田ちゃんを何とか抑え、急いで部屋に駆け込んだ。



「何ですかあの爽やかイケメンは!」

「何って…。」

「超親しそうだし! 超いい人そうだし! ……すごく、加藤さんのこと分かってそうだし。」
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