あの加藤とあの課長
「体を休めろ。」

「はい。」



マンションの前で車を降りると、課長はそう言った。


でも、昨日も定時に帰ったから仕事が…。

営業報告書も出さなきゃ。できる仕事はこのまま家でやろうかな…。


それで明日も会社に行けばなんとかなるかな。



「明日会社に来るなよ。」



私の考えを読んだかのようにそう言う課長に、思ったよりも肩が跳ねてしまった。

課長を見ると、やっぱりとでも言いたげな表情。



「家でも仕事なんてするなよ。」

「……。」

「返事は。」

「…はい。」



私の返事に頷くと、課長はそのまま車を発車させた。


なんでバレちゃったんだろう。
私って分かりやすいのかなぁ…。

首を捻りながらエントランスにあるポストの中を確認してから部屋に入る。



「あ…。」



もしも、直人が来たらどうしよう。今日はいい加減体を休めないとまずいのに。

合鍵を渡してしまったことを後悔した。
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