あの加藤とあの課長
来ても寝てやろうと覚悟を決めて眠りについたものの、直人が合鍵で来ることはなく。

代わりにインターホンが鳴って、その音に目を覚ました。



「はーい…。」



眠気眼で玄関のドアを開けると、ニコニコと笑顔の晋ちゃんがいた。



「やっほう♪」

「どうしたの？」



驚きで目が覚めた。

スーツ姿の晋ちゃんは、両手に買い物袋を下げている。



「番犬でーす。」

「えぇ？」

「とりあえず入れて、ここじゃ近所迷惑になっちゃう。」



晋ちゃんを家に上げてから時間を確認すると、もう９時だった。

晋ちゃんが持ってきた買い物袋の中身はアルコール類と、その他食料品。



「何々？ どうしたの。」

「課長のご依頼ですよ。」



とニコニコしながら冷蔵庫に買ってきたものを詰めていく。

果物と野菜、少しのお肉なんかしか入っていなかった冷蔵庫はあっという間にいっぱいになった。



「依頼？」

「そっ。直人が来るかもしれないから、追い返してって。」

「な、なんで…。」



私が直人を避けたいこと、どうして分かったんだろう…。



「あと、食生活すごそうだから見てやってくれって。」

「……。」



どうして分かるの。
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