あの加藤とあの課長
「だから課長補佐つけろって言ったのに。」



聞こえた言葉がにわかに信じられなくて、敏ちゃんを凝視した。



「…どういう、こと?」

「あら、知らなかったの? 源のやつ、今課長補佐なしでやってんのよ。」



驚きで、言葉が出なかった。

皆が隠していたのは、もしかしてこのこと…?



「俺の補佐は陽萌だけだーとか言っちゃって。公私混同を1番してたのは、コイツね。」



源に目を向けると、私の視界を曇らせていたものが溢れだした。



「馬鹿…、源…。」



課長補佐なしなんて、無茶だ。そんなの過労で倒れるに決まってる。

何人も辞めるくらい、大変なんだよ? 課長補佐は。



「まだ意識戻らないんだけど、命に別状はないし、意識が戻れば問題なしよ。」

「そう…。」

「ま、社員旅行中は入院ね。」



そう言って、敏ちゃんは扉の方へと歩き出した。



「あとよろしくー♪」



そう言い残して、敏ちゃんは病室を出ていった。
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