あの加藤とあの課長

「うわー、最近の直人どうしちゃったの。」



昨日のことを話すと、晋ちゃんはそう言って食器を洗う手を止めた。



「んー、分からなくないんだけどさ。」

「そうなの？」

「私が好きじゃないの気付いてるんだよ。」

「あー、なるほどねぇ。」

「晋ちゃん、手止まってる！」



指摘すると、晋ちゃんは手を動かし始めた。



「でもさー、そんなの直人も百も承知でしょ。」

「んー。」



付き合う前から一緒にいることが多かったから私の男関係はある程度知ってるし。

だから私がそこに恋愛感情を抱くことなくきたことはよく知っているはず。


だとは思うんだけど…。



「好きにさせる自信でもあったのかな。」

「さぁー。」

「それにしてもさ、なんで直人来ないのかな。」

「さぁー。」

「晋ちゃん、直人に私が倒れたこと言ってない？」

「言わなかった時の方が怖いかと思って一応言っておいたけど…。」



ってなったら、絶対来ると思ったんだけど。