あの加藤とあの課長
その言葉には、さすがに顔をしかめた。



「生渕さんと別れたとか、三富くんと付き合いだしただとか…。」

「ちょ、待ってください。」



そう言った私に、やっと視線を向ける高山課長。



「それ、人事部長が…?」

「そうだけど…。」



可笑しい。

いくら人事部長と言えど、そこまでの情報は必要ないはず。



「報告、したんですか?」

「え? うん。」



何の迷いもなくそう答えた彼に、頭を抱えたくなった。

自分の親が相手なら、疑わないのも無理はないのかもしれない。



「…報告したけど、必要な情報じゃないだろ…?」

「……。」



じゃあ報告する前にそう訊けよ。

なんて文句は心の内に封じ込めた。


…これは、本当に。

何か、別の何かが働いているかも知れない。



「…んー。」



目の前で首を捻る彼では、もう役に立たなそうだ。

家に帰ったらすぐに、行動を起こす必要がありそうだ…。



そう考えながら啜ったお味噌汁は冷めてしまっていて、正直美味しくなかった。
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