あの加藤とあの課長
「それでね、大学受験の関係でこっち来るのに、泊りに来たいんだって。」
「煌の所とかは?」
「家の方が近いんだって。」
そう答えた私に、源は何かを思案するように床に目を落とした。
「それは構わないが…、布団とかあったか?」
どうやら源が心配しているのはそっちらしい。
私はホッと胸を撫で下ろすと、帝に電話を掛け直した。
「いいって。」
『よっしゃ。』
満足気に笑う帝が想像できて、思わず顔を綻ばせる。
後日また連絡をすることにして電話を切った。
「…ん?」
源の顔を見て、ふと気が付く。
源と帝って、年の差いくつなんだろう。
「源が32で、帝が18歳だから…。」
「…14歳差だな。」
「うわぁ…。」
そんなに差があるんだぁ…!
下手したら親子ほども差がある2人。まぁ、早々ないけれど。
「老けたな…、俺も。」
そう言って背もたれに腕を乗せながら髪をかき上げる。
若い頃の源も見てみたいけれど、私はもちろん今の源も好きだ。
ううん。
「源なら何歳だっていいよ。」
きっと赤ちゃんの源も、おじいちゃんの源も、変わらず愛せる。
だけどきっとそのときには、私も一緒に幼くありたいし、老いていたい。
そう思うのは、我が儘だろうか。