あの加藤とあの課長
煌を見て育ったせいか、帝は大人びていて、服装だけでなく雰囲気まで洗練されたものがある。



「久しぶり。」

「久しぶりって、お盆に会ったじゃん。」

「でも半月ぶりだし。」

「はいはいっ。」



思わず苦笑してしまう。

何を隠そう、この帝。これまた煌の影響なのか、超シスコン。だと思う。



「どこか見たいところとか行きたいところとか、ある?」

「陽萌とならどこでもいい。」



お泊まり道具が入っているらしいボストンバッグを肩にかけ直しながら、私の手を握る。

本当、シスコン。



「帝ー、彼女できたー?」

「いるよ、ちゃんと。」

「……そっか。」



帝は顔が悪くないから、すぐに彼女ができる。

だけど、ちゃんと好きなのかと問えば、答えは否。


今が楽しければいいというか、わりと私に似たところがあったりする。


前まではそれでもいいよね、高校生なんだしって思ってたけど。

真剣に恋をした今、そんな付き合いに疑問を持つ。



「陽萌の彼氏。」

「源?」

「俺、会ったことないけど。同棲してんだっけ?」

「うん。」



ストーカー事件の時、高校生の帝は学校行事の関係やらなんやらで来れなかった。

そんなこんなで機会を逃している帝。


嫌な予感しかしない…。
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