あの加藤とあの課長
「リビング…。」



私がそう答えると、真っ赤な顔をした私をふっと笑ってリビングへ足を進めた。

リビングへ続くドアを開ける源。


そしてソファに座る帝を見据える。



「帝くん、だったか。初めまして。」



フレンドリーな笑顔を浮かべる源をチラリと見て、帝はスッと立ち上がった。

源より背が高い人、珍しいな、なんて。


180㎝前半の源に対して、180㎝後半の帝。



「初めまして。陽萌がお世話になってます。源さん。」



ふっと笑った帝のその笑顔は、まるで源を見下しているかのよう。

身長差でそう見えるだけ、だよね。



「お前でかいな。」

「まぁ。」



なんて差し障りのない会話を始める。

だけど、そんな光景が気が気でない私は、1人オロオロしていた。



「風呂、入ったか?」

「いや、まだです。」

「先に入れ。」



なんて淡々と話をする。


そっか。私からしたら弟だけど、源からしたら帝はお客さんになるのか。

なんて呆然と考えていた。



「じゃあお先に。陽萌。」



と、唐突に私の名前を呼んだ。



「え。」

「勝手が分からないから。」

「あ、そうだよね。ちょっと待って。」
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