あの加藤とあの課長
別に帝に嫌だと言われたから別れるとか、そんなのは有り得ないんだけど。



「帝が源のこと、認めてくれるかなあって…。」



好きな人は認めてもらいたいもん。
それと、やっぱりあの表情が気になる。

あの表情を目にしたのは、これで2度目。


本当に気に食わなければ、嫌悪感を顔いっぱいに晒け出しているはず。

だけど、そうじゃなかった。



「あれか、アイツもシスコンか。」

「あ、あはは…。」

「煌といい…、お前の兄弟はシスコンだらけだな…。」

「まぁ、仕方ないのかも。」



そう返した私に、首を傾げる源。

そんな源に苦笑を返して、私は続けた。



「煌と帝の名前って、王様っていう意味があるの。」



煌は皇帝の皇、帝は…そのままだけど。



「私の名前もね、字は違うけど、お姫様っていう意味があるんだ。」

「あぁ。」

「小さい頃からね、親に『陽萌は私たちのお姫様だ』なんて言われて育ったの。」



小っ恥ずかしい話に、照れ笑いをする。



「だから名前にかけてね、煌と帝は『王様として、お姫様を大事にするんだよ、守るんだよ』とか言われてて。」

「へぇ…。」
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