あの加藤とあの課長
いつもならカウンターで摂る食事を、帝がいるからと、リビングのテーブルで食べた。



「やっぱりお袋の飯より陽萌の飯の方が好きだな、俺は。」



お風呂上がりの帝は満足そうに頬を緩めた。

こういうところ、弟って感じがして可愛いなと素直に思う。



「ご馳走さま。」



立ち上がった源は食器を流しに下げると、そのままお風呂に入りにいった。

私も自分の分の食器を下げる。



「帝、明日何時から?」

「11時。」



食器を下げに来た帝から食器を受け取ると、「了解」と言った。

そんな私を優しく見つめる。



「なんか陽萌、奥さんみたいだな。」



カウンターに腰掛け、洗い物を始めた私の手元を見て笑う。

奥さん…か。なんだか、くすぐったい。



「えへへ。」

「なんで陽萌って姉貴なんだろ。」

「さぁねー。」



そんな会話をしていると、源がリビングに戻ってきた。



「陽萌、洗い物替わる。」

「いいよ、もうすぐ終わるもん。私より疲れてるんだし、休んでて。」



そう源に微笑んだ。



「そういえば、兄貴には会わないのか?」



突然話を振られた帝は、驚いたように立ったままの源を見上げた。

そんな帝に、源は首を傾げた。
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