あの加藤とあの課長
「兄貴は、いい。お盆に会ったばっかだし。」



どうやら帝からすると、私に比べて煌は然程重要ではないらしい。

そんな帝にふっと笑いかけると、「そうか」と言ってソファに座った。



「そういえば兄貴、純ちゃんと同棲始めたんだ。」

「え!? そうなの!?」



驚きのあまり、思わず洗っていたお皿を落としそうになる。

そんなの聞いてない!



「確か、4月から。」

「へぇ…!」



やっとかぁ…!
新生活スタートってね、うん。



「よーし、お風呂お風呂!」



洗い物を終えた私は、幸せなニュースに心を踊らせながらお風呂へと向かった。

ルンルンしながら服を脱いで、気が付いた。



「うわ…。」



生理がきてる。

ショックで項垂れながらお風呂に入り、リビングに戻った。



「…陽萌。」



先に私を呼んだのは、源だった。



「顔色悪くないか?」

「え…。」



サッと立ち上がり私の前に来ると、両手で私の顔を包み込む。

じっと私の顔を見つめて、私に訊く。



「貧血か?」

「あ、そうかも。」



痛くなる前に薬を飲もうと思ったんだけど、その前に源に気付かれてしまった。

源には勝てないなぁ。



「薬飲んだら座ってろ。紅茶と湯タンポ用意してやるから。」

「ありがとう。」



そう笑うと、源も笑顔を返してくれる。
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