あの加藤とあの課長
次の日、目を覚まして最初に思ったことは、全部現実だ。それだけ。



「んで、どーしたの? 一体…。」

「うん…。」



朝食を摂りながら、私は昨日のことをずっと考えていた。

もしも、源が言えずにいたことがこのことなら…、少し、納得できるかも。



「……。」

「……。」

「…うんって、それだけじゃ分かんないよ。」

「うん。」



(まさか…ね。)

脳裏を掠めたもう1つの可能性を振り払うように、頭を思い切り振った。



「ごめんね、晋ちゃん。もうちょっと落ち着いたら話すから。」

「僕は全然構わないけど…、溜め込みすぎちゃ駄目だからね?」

「ん、うん…。」



箸を置いて、空を仰ぎ見た。


源が帰ってくるのは、まだまだ当分先…。真実は、まだ分からない。

私にできることは、ただ待つことだけ…。



「…後片付けは僕がやっておくからさ、陽萌はもう出なよ。」

「え…。」

「1度家に帰るでしょ?」

「あ…、うん。」

「うん。」



私に1つ笑いかけると、晋ちゃんは洗い物を始めてしまった。


帰って着替えて、会社に向かわないと…。

やることは分かっているし、やらなきゃならないことは山積みなのに…。


(何か帰りたくないし、会社にも行きたくない…。)
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