あの加藤とあの課長
「しかも無防備だ。」

「はぁ…。」



なんだこの言われ様は。

誉められたような気もしないではないけれど、けなされた分でチャラだな、これは。



「でもそれは私も同じです。」



なんとなく反抗心が燃えてしまってそう返す。

今度は課長が箸を止めて私を見る番だった。私は丼を口に運びながら言う。



「イケメンで敏腕だって聞いてたのに、女癖悪いし。」



それに課長の反論や返事はない。



「超無愛想で笑わなくて鬼で。」



ここまで言ったら言い切ってやろうと思って、お茶を少し飲んでから続ける。



「かと思いきや、意地悪好きで悪戯っ子みたいに笑う。」



優しいとか面倒見がいいとか、他にもいいところはたくさんあるけどあえて言ってやらない。

私も少し意地悪なのかも。


課長を見ると何とも言えない表情をしていて、それが逆に面白くて笑ってしまった。


課長に睨まれたのは、言うまでもない。
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