あの加藤とあの課長
そんな私の元に敏ちゃんからメールが届いたのは、その日の夜。



『頑張ってる?』



ただそれだけ。

だけど、それが今の敏ちゃんの精一杯なんだとすぐに理解した。


元専務と常務の件の時に、社長と知り合いだと言っていた敏ちゃん。

2人の間に何があったのかなんてことはもちろん知らないし、敢えて知ろうとも思わない。


社長に恩があるとも言っていたくらいだから、よっぽどの何かがあったんだとは思う。


どちらの味方もできないそんな状況下で、こうして心配してくれるだけでもありがたい。



『頑張ってるよ、ありがとう。』



それだけ、返しておいた。

だけどこうしていると、今まで敏ちゃんにどれだけ助けられてきたかが分かる。



「…陽萌?」



私の顔を覗き込んできた源は、すごく不思議そうな顔をしていた。



「え、あ、どうしたの?」

「そんな辛気臭い顔して…、どうしたじゃないだろ?」

「あー…、うん。」



この現状に不安がないと言ったら、真っ赤な嘘になる。

だけどそれを源に言ったって、どうにもならない。
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