あの加藤とあの課長
「…ありがとう、源。」

「何がだ。」

「…私の首の皮を繋げてくれて?」

「お前なぁ…、もう少し気の効いた言い方はできないのか?」

「ちょっと難しいかなー。」



なんて言って笑い合う。
この時間が、今は幸せ。

源は、私を守ろうとしてくれてる。


だけど…、このままでいいの…?



「源がさ。」

「ん…?」

「会社をクビになるーとかは、ないの?」

「たぶん、この状況的にな。」

「そっか。よかった。」



そりゃそうだよね。源がクビになったら、元も子もないもんね。

クビになるなら、私、か…。



「源…。」

「ん…?」

「ギュッてして…。」



源の肩にもたれ掛かりながら言う私を、ギュッと強く抱き締めてくれた源。

そしてトントンと背中を叩いてくれた。



「不安か…?」

「ううん。」

「悪い…、巻き込んで。」

「大丈夫。大丈夫だから…。」



源の背中にしっかりとしがみつくと、そのまま目を閉じた。
< 452 / 474 >

この作品をシェア

pagetop