あの加藤とあの課長

愛されるだけより愛そう

気付けば暦は12月になっていて、源が社長の娘さんと食事をするようになって二月。

私が取引先の社長に提案を受けてから、一月が経っていた。


稼ぎ時那こともあり、お互いに忙しく擦れ違いの多い毎日を送っていた。



「源ー、今日も社長の娘さんと食事だっけ?」



2人分の朝ご飯を作りながら源に尋ねる。



「あぁ。」

「分かった、私も今日片野さんと食事だから。」

「……分かった。」



片野さんとは、あの取引先の社長のこと。

源には片野さんからの話のことを話していない。その方が、好都合だから。


何となく、ドライな空気。

忙しさからくる疲れもあって、お互い触れ合うことなく日々を過ごしてきた。



「あんまり、呑むなよ。」

「うん。」



だけど、こういうところから源の愛を感じる。



「……クリスマス。」



ソファに腰掛けコーヒーを飲みながら新聞を読んでいた源が、突然言葉を発した。

つられるように顔を上げると、テレビでクリスマスのイルミネーション情報が放送されていた。



「……クリスマス、かぁ。」



一緒に過ごしたいな。
あと、3週間くらい…か…。



「…空けとけよ。」

「……うん。」



照れ笑いを隠すように、料理に集中した。


こんなんだけど、源からの愛は感じるし、まだ彼女面できる。大丈夫。

そうやって自分を奮い立たせる毎日。


いろんな意味で、正直そろそろ限界が来ていた。
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