あの加藤とあの課長
いつものように私の腰に腕を回して、その腕の中に私を閉じ込める。



「体、しんどくないか?」

「うん、大丈夫。」



もうすぐ源はパパ、私はママになる。

ギリギリまで働く私は、どうやら源にかなり心配をかけているらしい。



「……なんか、寂しいね。」

「…少しな。」



いつものように私の肩に額を乗せる源。

この時間が好きだったなあなんて、漠然と思い返してみる。


いつものように先に源が給湯室を出ていって、そのあとを追うようにコーヒーとココアを持ってオフィスに戻る。



もうすぐ。

いつものように、が当たり前じゃなくなる。



「陽萌ー。今日増田ちゃんと夕飯行くんだけど、陽萌も行かない?」



昼休みに唐突にそう言われた。



「行かないー。楽しんでおいでよ。」



そう笑うと、晋ちゃんは罰が悪そうに顔を歪めた。

これはたぶんなんだけど、晋ちゃんと増田ちゃんはのんびりのんびり進行中。


こうやって、少しずつ変わっていくんだ。
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