あの加藤とあの課長
備え付けのローブを着て部屋に戻ると、課長は椅子に腰掛けて煙草を吸っていた。



「あの、課長。」



いつまでいるつもりなんですか、とは到底言えず、私はそれだけを言うのが精一杯だった。

課長って今一つ読めない…。



「落ち着いたか。」



私を見ることなく、煙を吐き出しながらそう訊いてきた。

本当、読めない。



「…はい。」



元々至って落ち着いています、とも言えず。

私って課長には何も言えないんだなぁ…。やっぱ直属の上司だからなのかな…。



「あの、ありがとうございました。」

「何がだ。」

「……分かんないですけど。」



そう言った私を、課長はやっと見た。といっても、視界の隅に捉える程度。



「お前、スッピンだと童顔だな。」



さらりと言われた言葉に、思わず両手で頬を覆った。

スッピンなんだった、私。童顔って…、ちょっと気にしてるのに…。


少しショボンとした私に細く笑む課長。
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