あの加藤とあの課長
「おはようございます。」
「おはよう。」
課長の部屋を訪ねると、課長は私の予想通り動揺すらしない。
仕事モードへの切り替えのお早いこと。
私は仕事をしているときしか切り替えない。
ずっと肩に力入れてたら疲れるからね。
「行くか。」
「はい。」
チェックアウトして課長の車に乗り込むと、昨日は気にならなかった距離にどぎまぎしてしまう。
「お前。」
「……なんでしょう。」
「男癖悪いくせに、案外余裕ないな。」
「なっ…!」
驚いて横を見ると、課長は前を向いたまま意地悪く笑っていた。
「…課長は余裕綽々すぎです。」
「そう見えるならそれでいい。」
「……え、緊張してるんですか?」
「いや。」
なんだそれ。
「どうやって攻めようかワクワクしてる。」
あの課長がワクワクしてる。
それも、どうやって攻めようかで。
しかもその対象は、私。
固まる私に意地悪く笑う課長はどこか楽しそうで。
昨晩から降り続く雨の中、車を走らせながら私に言った。
「俺の本気は怖いぞ。」
だなんて。
「おはよう。」
課長の部屋を訪ねると、課長は私の予想通り動揺すらしない。
仕事モードへの切り替えのお早いこと。
私は仕事をしているときしか切り替えない。
ずっと肩に力入れてたら疲れるからね。
「行くか。」
「はい。」
チェックアウトして課長の車に乗り込むと、昨日は気にならなかった距離にどぎまぎしてしまう。
「お前。」
「……なんでしょう。」
「男癖悪いくせに、案外余裕ないな。」
「なっ…!」
驚いて横を見ると、課長は前を向いたまま意地悪く笑っていた。
「…課長は余裕綽々すぎです。」
「そう見えるならそれでいい。」
「……え、緊張してるんですか?」
「いや。」
なんだそれ。
「どうやって攻めようかワクワクしてる。」
あの課長がワクワクしてる。
それも、どうやって攻めようかで。
しかもその対象は、私。
固まる私に意地悪く笑う課長はどこか楽しそうで。
昨晩から降り続く雨の中、車を走らせながら私に言った。
「俺の本気は怖いぞ。」
だなんて。