あの加藤とあの課長
適当に会社近くのお店に入って、向かい合わせに座った。


うちの会社にしては明るめの髪に、休日になれば光る両耳のピアス。

Yシャツの下にはネックレスしてるし、煌はチャラめの部類に入るだろう。



「煌ってさ、身長何センチ?」

「ん? ん~…、172? だった気がする。」

「ふーん。」



生渕さんって、やっぱり大きいんだなぁ。



「あ! あのね!?」



生渕さんのこと話すの忘れてた。

会社近くということで、なるべく名前を出さずに一連の出来事を話した。



「へー、不思議なことがあるもんだ。」

「でしょ!?」

「こんな奴のどこが良かったんだか。」



と言いながら私の口許についていたらしいご飯粒を取ってそれを食べる。



「…ありがとう。」

「どういたしましてー。」



本当、私のどこがよかったのかしら。



「んでもまぁ、いいんじゃねぇの? 生渕さん。」

「えー? なんで?」

「一晩一緒にいて陽萌のこと抱かなかったの生渕さんくらいじゃね?」

「あ、本当だ! そうかもっ。」

「愛されてるってことじゃん。」

「そうかなぁ?」

「少なくとも、風間さんやミナトさんとは違うな。」



そう、なのかな。よく分かんないや。
< 62 / 474 >

この作品をシェア

pagetop