あの加藤とあの課長
……もしかして、ヤキモチ妬いてる?



「…ふ、ふふっ。」



そんな想像をしたらなんだか可笑しくて、同時になんだかくすぐったくて笑ってしまった。

そんな私を怪訝そうに見つめる。



「なんだ。」

「安心してください。」

「は?」

「あれはお兄ちゃんです、お兄ちゃん。」

「あ、兄貴?」



不機嫌から一変、今度は驚いたように目を見開く。



「同い年くらいだっただろ。」

「双子なんですよ。」



なんだ、本当にヤキモチ妬いてたんだ。



「二卵性なんで似てないんですけどね。」

「……。」



暫しの沈黙を守った課長は、額に手をついて大きく溜め息を吐いた。



「…悪い。」

「何がですか?」



たぶんチャラいとかなんとか言ったことだと思うけど…。



「煌はあんなんだから勘違いされやすいんですけど、いいお兄ちゃんですよ。」

「あぁ…。」



自分の勘違いがショックだったのか、課長はどことなく項垂れている。

あの、課長が。



「でもまぁ、悪さはしてましたね、私も煙草とかお酒とか…、悪いことは全部煌に教わりましたから。」
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