あの加藤とあの課長
今年は久々に女子の新入社員が入った。だから彼女とは仲良くなりたいし、大事に育てたいとも思う。
思うんだけど。
「加藤さん、どうぞ。」
満面の笑顔でお盆に乗せたマグカップを私のデスクに置いた。
「ありがとう……。」
思わず顔がひきつりそうになるのを抑えて新入社員の彼女に笑いかけた。
こういうとき、営業でよかったと思う。
「いえ。」
そう笑う彼女……増田さんは綺麗に笑うけれど、その目の奥は欠片も笑っていない。
ああ、なんて恐ろしい。
うちの会社は店舗販売を基本としているため、入社してから1年は必ず店舗で研修をすることになっている。
そのときに身につく接客用の営業スマイル。
それがこんなところで役立つなんて、誰が想像しただろうか。
私がコーヒー飲めないこと知ってるはずなのに。
そこから立ち上る香りは明らかにコーヒーで、しかもブラック。
(匂いキツい…気持ち悪くなってきた…。)
「ひ……、加藤さん?」
「今泉くん…。」
「これ、僕がもらってもいいですか?」
とマグカップを手にして微笑む。
ありがたい。
「代わりにココア、よろしく。」
「了解。」
思うんだけど。
「加藤さん、どうぞ。」
満面の笑顔でお盆に乗せたマグカップを私のデスクに置いた。
「ありがとう……。」
思わず顔がひきつりそうになるのを抑えて新入社員の彼女に笑いかけた。
こういうとき、営業でよかったと思う。
「いえ。」
そう笑う彼女……増田さんは綺麗に笑うけれど、その目の奥は欠片も笑っていない。
ああ、なんて恐ろしい。
うちの会社は店舗販売を基本としているため、入社してから1年は必ず店舗で研修をすることになっている。
そのときに身につく接客用の営業スマイル。
それがこんなところで役立つなんて、誰が想像しただろうか。
私がコーヒー飲めないこと知ってるはずなのに。
そこから立ち上る香りは明らかにコーヒーで、しかもブラック。
(匂いキツい…気持ち悪くなってきた…。)
「ひ……、加藤さん?」
「今泉くん…。」
「これ、僕がもらってもいいですか?」
とマグカップを手にして微笑む。
ありがたい。
「代わりにココア、よろしく。」
「了解。」