あの加藤とあの課長

「あの課長が…。」



翌日、社食でご飯を食べながら晋ちゃんが呆然と呟いた。

湊と残業続きで晋ちゃんと話せたのは久しぶりだった。



「うん、なんか面白いの。」

「面白いってか、結構意外じゃない？」

「意外すぎるねぇ。」

「すごい甘々じゃん、想像できない…。」



確かに私も想像できなかった。でも、実際目の当たりにすると、案外ありだったりする。



「てかそれよりさ、そのストーカー、大丈夫なの？」

「あ、うん、たぶん大丈夫だと思う。」

「何を根拠に。」

「えー…、慣れ？」



そう言うと、晋ちゃんはがっくりと肩を落とした。



「あのね、何かあってからじゃ遅いの、分かる？ 分かってないでしょ。」

「んー…、って言われてもどうしようもないし…、犯人思い当たらないし…。」



そして別に怖くない。



「もーっ、僕がどれだけ心配してるか分かる！？」

「うぅー…、あ！」

「何！？ 思い当たる人！？」

「今日の夜接待なの！ だからその分仕事詰めなきゃ！」



急いでご飯を食べると、晋ちゃんはまたもやがっくりと肩を落とした。