あの加藤とあの課長
江藤くんは私の1つ下の後輩で、今日は晋ちゃんと同じ部屋のはず。


静かに、だけど急いで部屋を出た。

(晋ちゃんの部屋に行けってこと…?)


いやいや、それはダメ!



「頼むよ増田ちゃーん…。」



行き場がないよー…。

項垂れながら廊下を歩いていると、縁側に腰掛けて煙草を吸っている課長がいた。



「課長!」

「加藤…、どうした?」

「行き場がなくて。」



苦笑いしながらその隣に腰掛けると、課長は煙を吐き出しながら微笑んだ。



「増田と江藤か。」

「そうなんですよ~。」

「宴会のときからすごかったからな。」



煙草を持った右手で口許を覆うようにしながら煙を吸い込んだ。



「課長もすごかったですよ、綺麗所に囲まれちゃってー。」



投げ出した両足をブラブラさせながら笑いかけると、課長は苦笑いした。

課長が吐いた煙が空に消えていった。



「チヤホヤされるならお前に、がよかったな、俺としては。」

「…ふへへっ。」



思わず漏れた笑いはお酒のせいにしておこう。

(シラフなんだけどね…。)
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