黒(クロ)
「で?なんですか、その両腕に抱えてる生き物」

『ロシアンブルーのシンアとベンガルのクレールです。』


車に乗り込んだときみのりがミラー越しにこちらを見て顔をしかめた。
それでもその時はなにも言わずにマンションに向かった。
が、部屋にはいるとソファーに座らせられみのりは仁王立ちしこちらをみてる。


「そんなこと聞いてないですよ。わかってるんでしょーが。なんで子猫がいるんですか」

『欲しくなって買っちゃいました。かわいいでしょ?飼っていいよね?もう買っちゃったし。』

「なんで事後報告なんですか。きちんと連絡してから買ってくださいよ。用意とかあるでしょう。猫のトイレや、遊び道具にご飯。そんなこと考えないで買ったでしょう?」


うげ。バレてる。とりあえず欲しくて買ったが、用意がない。
みのりは飼うのはいいが、連絡なしだったのが気に食わない様子。
道具や食べ物がないからか。


『ごめん。今から買ってくる。ホームセンターまだ開いてると思うから。』

「行かせるわけないでしょう。私が買ってきますから大人しく家にいてください。ご飯作ってあるので暖めて食べといてください。勝手に外出たら3日間縁さんの嫌いなトマト地獄にしますからね」


そうのこしみのりは車の鍵を持って買い物へ。
トマト地獄……考えただけでいやだ。トマト嫌いだ。
さて、ご飯食べるか。食べるの嫌だけど今ここで残して食べないのは頭のいい考えではない。


『それにしてももう21時か!早いもんだ。……なにか忘れてる気がするけど。……なんでもいいか!食べよっと』
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