おいしいコーヒーの入れ方。
№1 アルバイト

高校1年になった この春。

今日から私は コーヒー店でアルバイトを始める。


「はッ初めまして!! 野原佳乃です、よろしくお願いします!」

ペコペコと頭を下げる私を見て、

他の店長さんがくすくすと笑う。

うぅ、恥ずかしい・・・。


「そんな緊張しなくても大丈夫だよ、佳乃ちゃん。 あ、私 奈々って言うの。 よろしくね☆」

綺麗なお姉さん・・・店長さんが、優しく声をかけてくれた。

「ありがとうございます-・・・ こちらこそよろしくです!」


皆の足引っ張らないように、頑張らなきゃ!!!





ところが-...

「お待たせしましたー。こちらミルクコーヒーでございます」

注文を受けたテーブルの所へコーヒーを持っていって、置こうとした時

「・・・あの、これ うちは頼んでないコーヒーなんですけど・・・。」


え?

「えッあっ!!すいません!! 以後、気をつけます!!!」

ペコペコ慌てて頭を下げて、逃げるように私は駆けた。


そして...

足がツルッと滑り、

すてーーーーーーんっ!!!!!


・・・・・・・・思いっきり 扱けてしまった-----....

扱けた所を見たお客さんは、それを見て苦笑いしている。


もー、最悪・・・。

顔を赤くして、床にこぼしたコーヒーを拭いていた時

後ろから別の店長さんがやってきた。


・・・・・明らかに怒った顔をしてるッッ!!!!????

「あなた、佳乃っていうんだっけ? あなた・・・新人だからとはいえ、失敗が目立つわね。 こーいうのが続くなら、クビも考えるからね。わかった?!」

ひぃぃぃぃぃっ!!!!

「は、はいぃっ・・・」


あぁ・・・ 私のドジ・・・。





その次の日。

私はコーヒーを入れる役を任された。

「おいしく入れてよね、頼むわよ」

あの怖い店長さんが、私にそう言って サッサと向こうへ行ってしまった。


しか-し。


「・・・私、コーヒーの入れ方なんてわかんないよ・・・?」

とりあえず、思うようにコーヒーを入れてみた。





おおっ!

なかなかいい感じに入れれたんじゃない??!

試しに飲んでみた。

すると-・・・・・・

「オェッ」


ちょ!!!何これ!!? すっごいマズい!!!!!


コーヒーをおいしく入れるのって、こんなに難しいの!?


----うまく入れないと、またあの店長さんに怒られて、クビになっちゃう---


その焦る思いが募るせいか、入れる回数が増えれば増えるほどどんどんマズくなっていった。

・・・・・・・・どうしよう・・・・!!


床にへなへなっと倒れこむ。


私って、何でもダメダメなんだぁ・・・。


その時。

「クス...クス...」

かすかな笑い声が聞こえた気がした。

「へ?」

< 1 / 2 >

この作品をシェア

pagetop