おいしいコーヒーの入れ方。
№1 アルバイト
高校1年になった この春。
今日から私は コーヒー店でアルバイトを始める。
「はッ初めまして!! 野原佳乃です、よろしくお願いします!」
ペコペコと頭を下げる私を見て、
他の店長さんがくすくすと笑う。
うぅ、恥ずかしい・・・。
「そんな緊張しなくても大丈夫だよ、佳乃ちゃん。 あ、私 奈々って言うの。 よろしくね☆」
綺麗なお姉さん・・・店長さんが、優しく声をかけてくれた。
「ありがとうございます-・・・ こちらこそよろしくです!」
皆の足引っ張らないように、頑張らなきゃ!!!
★
ところが-...
「お待たせしましたー。こちらミルクコーヒーでございます」
注文を受けたテーブルの所へコーヒーを持っていって、置こうとした時
「・・・あの、これ うちは頼んでないコーヒーなんですけど・・・。」
え?
「えッあっ!!すいません!! 以後、気をつけます!!!」
ペコペコ慌てて頭を下げて、逃げるように私は駆けた。
そして...
足がツルッと滑り、
すてーーーーーーんっ!!!!!
・・・・・・・・思いっきり 扱けてしまった-----....
扱けた所を見たお客さんは、それを見て苦笑いしている。
もー、最悪・・・。
顔を赤くして、床にこぼしたコーヒーを拭いていた時
後ろから別の店長さんがやってきた。
・・・・・明らかに怒った顔をしてるッッ!!!!????
「あなた、佳乃っていうんだっけ? あなた・・・新人だからとはいえ、失敗が目立つわね。 こーいうのが続くなら、クビも考えるからね。わかった?!」
ひぃぃぃぃぃっ!!!!
「は、はいぃっ・・・」
あぁ・・・ 私のドジ・・・。
★
その次の日。
私はコーヒーを入れる役を任された。
「おいしく入れてよね、頼むわよ」
あの怖い店長さんが、私にそう言って サッサと向こうへ行ってしまった。
しか-し。
「・・・私、コーヒーの入れ方なんてわかんないよ・・・?」
とりあえず、思うようにコーヒーを入れてみた。
★
おおっ!
なかなかいい感じに入れれたんじゃない??!
試しに飲んでみた。
すると-・・・・・・
「オェッ」
ちょ!!!何これ!!? すっごいマズい!!!!!
コーヒーをおいしく入れるのって、こんなに難しいの!?
----うまく入れないと、またあの店長さんに怒られて、クビになっちゃう---
その焦る思いが募るせいか、入れる回数が増えれば増えるほどどんどんマズくなっていった。
・・・・・・・・どうしよう・・・・!!
床にへなへなっと倒れこむ。
私って、何でもダメダメなんだぁ・・・。
その時。
「クス...クス...」
かすかな笑い声が聞こえた気がした。
「へ?」