御子の恋


「いくら大切な人でも関係無い人を巻き込ませたのには大罪よ。現に私の親友を殺したわ。」

「それはあってはならない事だよね…。」

沙羅の言葉に頷くさくら。

「そういう事だったの。」

いきなり別の声がしたから、ドアを見た。

さくらは平然。

「盗み聞きするなんて魔が刺したの?お母さん。」

お母さん?!

「さくらを傷つける気?」

風花がさくらの味方をする。

「あら?あなただって置いて行ったでしょ?」

「さくら。言いたいことあるの。」

お母さんの言葉を無視してさくらに話しかけた。

「何…?」

さくらはビックリして居る。

「あの時…私喘息になったでしょ?」

「あぁ…あれか。…!蓮。沙羅。風花は昔喘息にかかりやすいの。」

全く読めない俺らに説明したさくら。

「助けてくれてありがとね。」

「どいたしまして。」

たすける…?

「あの日…。風花は両親が居ない時に喘息にかかったの。」

繋ぐさくら。

「凄く苦しそうだった。姉だったから…助けなくちゃって…。」

「さくらは私にありったけの回復魔法をかけたの。さくらがいなかったら…私は居なかった…。」

「……。」

沙羅はグズっと泣いた。

「ありがとね。さくら。私もさくらを守りたいな。」

「サンキュ。風花。」

さくらと風花はガチッと手を繋いだ。

やっぱり姉妹だな。

「ねぇ〜っ!!私を置いていかないの!!!」

「最初に置いて行ったのは何処の誰よ?!」

「…!!」

さくらが怒る。

「四歳の私を置いて行ったのは誰よ?!私を一人にしたのは誰よ?!」

…何も言えなかった…。

さくらは…







泣いて居たからだ…。


今までの感情を押し殺して居たんだろう…。


その時…俺の頭に何かが浮かんだ。

おぼろだが…女の子…。

「また…会える日まで…。」

そう言って俺にグレープのキャンディを渡した。

あれは…?

龍…?


女の子が龍になって天に行った。

待って…。


「蓮?どした?」

ハッとさくらの言葉で気付く。

さくらは不安そうに俺の顔を覗き込んで居た。

「いや…大丈夫だ。」

「そっか。」


何だったんだ…あれは…。

でも…何処か懐かしかった。

あれは…俺の記憶だ。

さくらの言葉が蘇る。

「会ったことあるのにね…忘れてるなら良いや。」

会ったことあると言った。

俺は覚えてなかった。







と言うか…気付かなかった。

あれが…初恋だという事に…。

あの女の子に俺は恋したんだ…。

だから…他の女の子がうっとおしかった。

でも…さくらに初めて会った時、何処か懐かしかった。

何でかは分からなかった。

でも…さくらイコールあの女の子つまり龍だとは限らない。

でも…その予想が違うなんて…この時は何もわからなかったんだ…。

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