御子の恋
「あれは…あんたが勝手に束縛したからだろ?普通の力よりも半減させたろ?」
怒るさくら。
落ち着きをなくして居るようだ。
『やだやだ。君を思ってバリア張っただけだよ?』
「なら…何で外に出られなかったわけ?」
外に…?
「どういう事?」
俺は尋ねる。
『さくら…?他に男できたのかい??』
少し怒りを抑えたような颯太。
「ふっ…。ナイスだね…蓮。そうだ。出来たんだよ。諦めて。」
『あははは!!僕に諦めろって?無駄だよ。僕は、星魔術学園に入るからね?』
青ざめたさくら。
「クラスは?」
『始めたばかりだからね、まだ初番だよ。でも、見つけてあげるよ、僕の天使さん。』
ブチと颯太から電話を切る。
ツーツーと機械音。
「はぁー…。まさか…入るなんてな…。また逃げなくちゃな。」
「逃げなくて良いだろ。俺たちが居るんだから。」
「サンキュ。」
さくらは苦笑い。
「束縛って…何があったの?」
風花が聞いた途端、図書室の扉が開いた。
「見っけ。さくら。」
さくらは青ざめた。
ヤンキーぽい服に、ツンツンヘア。
目は据わって居た。
「何の用?」
「やだやだ。言ったじゃんか?さくら。」
こいつが颯太か。
「で?蓮って誰ぇ?」
キョロキョロ探す颯太。
「ここはスルーして。左目の事だが…。」
無視するさくら。
「あぁ…。」
さくらは左目を隠す前髪を上にかき分けた。
絶句…。
左目は…赤い線のように縦に引かれていた。
「生まれつきよ。御子の力と同時に、妖力も持ってるの。」
珍しい…組み合わせ。
御子は普通、妖力を持たない。
「あと…自然の御子。」
自然の…?!
更に珍しい…。
普通、魔力で御子としての力は持つ。
「外にある人工の植物はダメで、普通に生えて居る植物じゃなきゃダメなわけ。」
「んで、何の関係が?」
「颯太がやったバリア。あれは、部屋にだけ。私は自然の御子。だから…息苦しかった。」
なるほど…。