御子の恋
ついて来た場所は、海だった。
ザザンと波が引き寄せる。
「バレるんじゃねぇか?」
俺の心配をよそに、さくらは横に振った。
「心配…無いと思う…。…ついて来なければ…問題は…無いと思う…。」
ハァハァと息を切らすさくら。
「どうした?」
赤雷が尋ねる。
「少しね…。身体中怪我になってるから…今治療中なんだ。知りたい事は?」
怪我?
あり得ない。
さくらは…
最上級の自動HP回復スキルだぞ?
「どうして、怪我だらけ?」
俺は尋ねた。
俺は…気付いてしまった。
気付きたくなかった…。
さくらの曇り行く顔に…。
俺の心がどっかに行ったみたいだった…。