MIX
黒髪に整った鼻筋。
耳には3つのピアス。
由杏より、何コか年上なのだろうか。

あまりにも美形で見惚れてしまった。

すると男性は薄い唇を開いた。
「あの、お怪我はありませんか?」

「あ、はい。大丈夫です。」
慌てて立ち上がり、頭を下げる。

「すみません。私が前を見ていなかったから。」
「いえ、気にしないでください。
私も他のことに気をとられていましたから。」

私が悪かったのに、責めもしなかった。
顔だけじゃなくて、心まで綺麗な人なんだな。

それに優しそうに微笑む姿は王子様のようだった。

「では、私はこれで。」
男性は会釈をすると、信号を渡っていった。



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