雪女の初恋
保健室で
【柚実】
ガラガラ。
ゆっくり保健室の戸を開ける。
まだ、川瀬は来てないみたい。
なんとなく、ほっとした。
ていうか…何気なく来たけど…もてあそばれてるだけなんじゃ…。
うん。帰ろう。そう思ったとき。
「ちょ…川瀬ぇ!どこ行くの!まだ、途中じゃん…っ。」
「悪ィ。先約あんだよ。さっさと服着て、出てけ。」
「なんでよぉ!バカっ…!もぉ、知らない!」
乱れた服装でベットから」出てきたのは同じ学年の女の子だった。
その子は、わたしをニラんで泣きながら、保健室を出て行った。
うっわ…嫌な予感しかしない。
「やっぱ、雪女か。んで、返事は?…まさか、嫌だとか言わねぇよな?」
わたしは、首を横に振った。
もちろん、拒絶の意味で。
「…ふぅん。お前さ、この状況分かってねぇだろ。」
…状況?
わたしが、突っ立てると…。
「こういうことだよ。」
慣れた手つきで、わたしをベットに押し倒す。
わたしは恐怖で動けなかった。
そして、わたしにどんどん近付いていって……
!
キス…された…?
やだ…気持ち悪い…っ。
「…んん…ん……はぁ。お前…マジで感情ねぇのな。」
川瀬が、ため息をつきながら唇を離す。
ため息つきたいのは…こっちだよ。
「もーいいや。つまんない。出て行って。」
なんなの…この男。
人にキスしといて…出て行って…とか。
ひどすぎる…。
わたしは、早歩きで保健室を出て行った。