雨情物語①<猫会議>
「自然の森公園の鯉のことで」

ああ、と猫は頷きました。


県民自然の森公園の中にある小さな池にひっそりと住む鯉が、猫を喰らうと噂になっていたのです。


「猫など喰うてもまずかろうに」

古参の猫が言いました。

議題をあげても活発な議論を交わすわけでもなく、猫たちはただ毛並みを整え噂話をするばかりです。


「いやいや、なかなか猫は良い肉が付いておる」

「鯉も泣いて欲しがる旨味があるであろう」

「わたくしは高級キャットフードを食べているから滋養があるはずですの」


猫会議は雨の中、延々続きます。


紫陽花は、まだ咲きません。
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