王に愛された女 番外編
「あぁ、そうだ。このハナミズキ、よかったら君にあげるよ」
イアルが言うと、クリスティーヌは顔を輝かせた。
「えぇ!?いいんですか!?」
「あぁ、いいよ」
眩しすぎるくらいの笑顔に、イアルは少しだけ目を細める。
「で、でも…もらっちゃったら悪い…よね」
ためらいがちに、クリスティーヌがハナミズキを窓際に戻した。
「いいよ、もらってって。だってハナミズキの花言葉は“私の想いを受け止めて”なんだから」
イアルはクリスティーヌの手にプランターを押し付けた。
彼女は、イアルの言葉の意味に気付いたのだろうか。
このハナミズキを受け取ってほしいと言った意味を――?
「じゃあ、もらいますね。後で恨んだりしないでくださいよ?」
冗談めかして言い、クリスティーヌはプランターを抱きかかえた。
ふと外を見ると、雨は止んでいた。
「あ、雨やんでる!」
彼女が嬉しそうに言う。
「本当だ」