王に愛された女 番外編
「…王宮へ遊びに来てくれることを待っている」
テアンが今朝クリスティーヌに届いていた手紙を読み上げる。
「…ってそう書いてあるの?」
「うん」
クリスティーヌはテアンの手の中の手紙を覗き込んだ。
「どうする、クリスティーヌ?これ王子様からだぞ?」
テアンがニヤッと笑う。クリスティーヌは顔が強張るのを感じた。
王子のことは、まだ怖いのだ。もしかしたら処刑されるかもしれないと思ってしまうのだった。
「でも、王子様に会いたいとは言われていないし、僕が王宮に連れて行ってあげるよ?」
テアンはクリスティーヌを王宮に案内したい様子だった。
クリスティーヌは手紙とテアンを見比べる。
「…でも…」
「大丈夫、僕がついてるから」
クリスティーヌは王宮のある方角を見つめた。王子と出会ったときの夫婦樹が視界の端にうつる。