王に愛された女 番外編
――王宮に行っていい?
――ダメだ。絶対に行くな。
父と城下町に行ったときの会話を思い出し、クリスティーヌはゆっくりと首を振った。
「ダメ。お父様がダメって言うわ」
クリスティーヌが言うと、テアンが恨めしそうにクリスティーヌの家を見つめた。
「…じゃあわかった。僕が君のお父さんに相談してみるよ」
「え?」
何が何でも王宮に案内したがっているテアンの様子にクリスティーヌは苦笑した。
「…な?相談して、いいって言われたら僕が君を案内するよ」
テアンは手紙をクリスティーヌの手に押し付けると彼の家に歩いて行った。
◇◆◇◆
夕方、クリスティーヌは父に呼び出された。
呼び出された原因はなんとなくわかっていた。