王に愛された女 番外編
「今日の昼ごろ、テアンくんに相談された」
単刀直入に父が切り出した。
クリスティーヌは父から目を逸らし、母を見た。母の表情も父の表情も怒っているというよりは困っている表情だった。
「…オマエを王宮に連れて行きたいと言われた。何があったんだ?」
「お父様は、反対?」
クリスティーヌにとってはどちらでもよかった。
王宮に行くことができてもできなくても。
「…いや。テアンくんがついていてくれるなら、行ってもいいとは思っている。だが…」
父は昔からテアンのことを信頼している。
クリスティーヌはテアンが信頼されていることは知っていたが、これほどまでとは思わなかった。
「でも、お父様は私に王宮へ行ってはいけないと言うでしょ?」
「テアンくんがついていてくれるなら大丈夫だ」
こんなに信頼されていると、そのまま結婚させられてしまいそうだとクリスティーヌは思った。