王に愛された女 番外編




 途端、同時にドアが開いた。

「ん…?」

「お兄様、ねぇ聞いて!!」

 マリィだった。

「なんだよマリィ」

 カイルが不機嫌そうに告げると、

「何よお兄様、つめたーい」

 マリィが頬を膨らませつつ、ロッドの描いた図を見る。

「これ、何?っていうかロッド、あなた、描き間違いしてるわよ?」

 マリィの言葉に、ロッドが図を覗き込む。

「どこをでしょう?」

「ほら、インクが垂れて染みができてる」

 カイルを占める割合、をマリィが指さす。

「あぁ、本当ですね」

 ロッドが作り笑いを浮かべた。

 インクが垂れてできたシミ、という認識に、クリスティーヌの自分に対する評価の低さにカイルは改めてショックを受けた。

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