王に愛された女 番外編




◇◆◇◆

 部屋を出て、カイルは夫婦樹が見える庭へ向かった。

 庭でボーッとしていると、役職についている三人組の女人が歩いてきた。

「私、見ちゃったのよ」

 真ん中の丸っこい女人がジェスチャー付きで説明する。

「見たって、何を」

 右の細くて背の高い女人が眉根を寄せた。

「王子様の部屋から、フィオーレ様の娘さんが出てくるところよ」

 真ん中の女人が言った。

 カイルはギクッとして、欠伸をしかけた口を塞ぐ。

 勘違いしてロッドが連れてきたのは、重臣フィオーレの娘だったらしい。

「彼女、嬉しそうな顔してたけど、何かいいことがあったんだわ」

 左側の背の低い女人が言った。

「もしかして二人は付き合っているのかしらね」

 右側の女人の言葉に

「きっとそうよ」

 左側の女人が同調する。

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