王に愛された女 番外編




「ねぇ、聞いて。私、告白されたの」

 ミィナはクリスティーヌに言った。

「え?」

 彼女が目をキョトンとさせる。

「王子様に、告白されたのよ。好きだった、って」

 ミィナは彼女の耳元で囁き、微笑んでみせた。

 クリスティーヌの顔がはっきりと強張る。

「そ、そっか…おめでとう」

 確信した。

 彼女から、王子を奪えたと、そう確信できた。

 勝ったと思えた。

「それだけだから」

 もう近づかないで。

 心の中で言い、ミィナは彼女に背を向けた。

 奴隷を買うのは、今日はもうやめた。

 奴隷よりもっと高額の物を買いたい気分だった。

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